
先日、ホルベイン株式会社が主催する「アクリリック メディウム ワークショップ」に参加してきました。
それぞれのメディウムの扱いについて、自分の備忘録も兼ねた雑記として、まとめておきます。
ジェッソの「番手(粒子の粗さ)」は、筆圧と描き心地を左右する
「下地はとりあえず白ければいい」と思いがちですよね。 私もはじめの頃は、そう思っていました。今回WSで週種類のジェッソを比較して、改めて実感したのは、粒子の粗さが「筆の進み」と「絵具の食いつき」を支配しているということ。普段は、絵の構図や、色彩、完成度といった絵の構造の表層は意識するけれど、下層、下地についてはさほど気にしていない方も多いかと思います。建築物でいうと、基礎にあたるこの部分。ここか曲がっていたり平行でなければ、上に建てられる建物は、歪み、傾き、いずれ建物として機能しなくなりますよね。描画ならデッサンが基礎にあたります。絵画でいうと、この下層が大切で、欠かせない要素です。ここを気にして作品をつくるようになると、作品の持ちも変わりますし、より自分の作品を大切に扱うこともできそうですね。「自分の描きたいスタイルに合わせて、土の細かさを選ぶ」感覚を身につけると、より充実した制作をしていくことができますね。
モデリングペーストの「重さ」は展示を左右する
私が美術を始めたのは、もう38年前になります。美術を始めた頃、私はデザイン科を専攻していて、その頃よくリキテックス社のモデリングペーストを使っていました。モリモリに画面を作って、色々なコラージュを試作していました。その後、油画科へ転科してからは、水性のモデペは使えないので、石膏を使って盛り上げていたことを、懐かしく思い出しました。そのころのモデリングペーストは、こんなに種類がなかったような気がするのですが、今回、ホルベイン社が出しているすべてのモデペを、触ることができました。その中で特に私が印象的だったのは「モデリングペースト・ライト」。質量が軽いので、大型の作品にモリモリしても大丈夫なのだそうです。確かに、モデぺって重たいんですよね。でも、このライトはとても軽く、乾燥した後の縮みも少なくて、使い勝手がとても良いみたいです。「何となくあるものを使う」のではなく、完成時の重量とエッジの鋭さを計算して選ぶと、作品のコンセプトもはっきりと伝わりそうです。特に、展示をする際には、壁やフックの耐重量もきになります。搬入搬出は力仕事です。少しでも軽いと、助かりますよね。
グロスメディウムが、すべてのメディウムの基本である
WSで一番心に残ったのは「グロスメディウムが、すべてのメディウムの基本である」というお話。グロスメディウムの粘度を調整したものがジェルメディウム。このジェルメディウムに体質顔料のチタン白を入れれば、ジェッソが自作できるんですね。勿論、粒子の粗さなどの調整は難しいし、自作ならではのごたつきなどは自己責任になりますが、ジェッソの構造がわかっただけでも、私的には嬉しかったです笑。やはり絵の具もその構造が気になってしまいます。また、グロスメディウムを使いこなせば、油絵の具のようなグレージングもできることは、初めて知りました。透明なメディウムなので、光が絵の具の層を通り抜けて、下の色を反射させ、色に深みが出る表現が、アクリル絵の具を使ってもできるなら、油絵具に比べると、匂いも弱いし、乾燥もかなり早い、水で綺麗にできるのも手軽ですよね。初心者の方で油画の体験をしたい方がいらしたら、こちらをおすすめするのも選択肢のひとつかな、と思いました。ツヤがあるかないかという好みだけでなく、「色の奥行きをどう見せたいか」でメディウムを選ぶ。この視点を持つだけで、アクリル画のクオリティが、一段階上がる気がしました。
まとめ
ネットで調べれば使い方はたくさん出てきますが、WSの良さは「このメディウムとこのメディウム、混ぜても大丈夫ですか?」とか、「この下地の上に油彩を重ねるならどれ?」といった、現場の生きた疑問にその場で答えてもらえることです。ホルベインのスタッフの方々の画材愛に触れ、改めて「道具を使いこなす楽しさ」を実感した一日でした。使いこなすには練習が必要ですが、表現の幅が広がるメディウムの世界。まずは遊び心で、色々なものを作っていきたいですね。今回のWSは、ホルベイン社が行なっているスカラシップ入選者限定でしたが、時々、一般の方を対象としたイベントも行われているようなので、お近くでご興味のある方は、ぜひ参加されるのをお勧めします。
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