
大号数のキャンバスを自分で張ってみたいと考えたことはないですか?
でも失敗したらどうしよう…と心配ですよね。
今回はS100号を用意して、解説したいと思います。
木枠の組み立てから、画布の固定まで順を追って解説します。
100号キャンバスとはどういうものか
今回用意したS100号は1620×1620mmという迫力のある大判サイズ。絵の具なしの状態でも、結構な重さがあり、小号数とは全く勝手が違います。市販の張りキャンをそのまま使う方法もありますが、自分で張ることで、画面のテンションや素材を自由に選べ、コスト面でも有利です。ただし、大号数ならではの注意点も多く、何となくやって失敗したら、かなり凹みますよね…。
この記事では、木枠の組み立てから画布の固定までを、順を追って解説し、失敗例とその対処法もあわせて紹介します。
必要な道具

途中で手が止まると、画布のテンションが変わる可能性もあるので、最初にすべての道具を揃えておきましょう。
・木枠
杉材推奨。100号以上は強度重視
・画布
麻布。今回は中目を使用
・キャンバス張り器
大号数を張るときは大きいサイズがおすすめです。今回は小サイズを使用
・タックス or ガンタッカー
タッカーの刃は錆びないステンレスのものを
・カナヅチ
タッカーの場合はいりません
・ドライバー
・釘抜き or タッカー外し
小鳥のくちばしのような形状にタッカーを挟んで、テコの原理で引き抜きます
・三角定規 or 直角が測れる定規
・当て木
木枠をはめ込むとき、本体を傷つけないため
・道具を置いておく台
大号数を張るときは、道具を手の届くところにまとめるのが重要!
木枠の材質について
桐材は軽量・低価格ですが、強度が低く100号クラスの大作に繰り返し使うには向きません。
杉材は重い分反りや変形に強く、大号数・長期保存の作品に推奨されています。
キャンバスを張る日を選ぶ
キャンバス張りには「湿度」が最重要
麻布は湿度によって大きく伸縮します。湿度が高い日(雨の日や曇りの日)に張るのが最適です。湿気を含んで緩んだ状態の画布を木枠に張り込むと、湿度が下がったときに画布が縮んでテンションが生まれます。逆に、乾燥した晴天に張ると、後日湿度が下がったときに画布が伸びて緩んでしまうことがあります。キャンバスを張る日は、雨の日か曇りの日にしましょう。

見落としがちですが、重要ポイントです
作業スペースの確保
S100キャンバスは非常に大きいため、アトリエや広めの部屋で行いいましょう。
回転させて張る場合は、床や天井に木枠を当てて傷をつけないように注意が必要です。
木枠を組む

① 木枠の裏表を確認する
サイズ印字がある面が「裏」(画布を張らない側)です。表面には、若干の傾斜角がついています。角が丸い方が表側。

② 桟を組む
サイズ印字がある面が「裏」(画布を張らない側)。表面には、若干の傾斜角がついています。角が丸い方が表側です。

③ 桟をあわせて、ボルトで止める
溝をあわせて、付属のボルトで桟同士を付けます。

④ 外枠をはめる
外枠にある45度にカットされたホゾの部分を、少しづつ手で押し込みます。一度で全てを押し込まず、先ずは左右、そして桟のホゾを、少しづつ均等に。一辺が終わったら、対角に押し込む作業を進めます。

⑤ 木枠の組み立て完成。直角を測る
木枠の角に定規を当てて、すべての角が直角になっているかを確認します。ここで木枠が歪んでいると、画布を張ったときにたるみの原因になるので気をつけて。失敗しないためにも、確認をしっかりとしましょう。

木枠が完成したら、いよいよキャンバスを張っていきましょう
画布を張る
今回は、スタンダードなキャンバスの張り方で解説します。
1:画布をカットする
木枠に対して縦横5〜8cmぐらいの折りしろを加えてカットします。
四隅は折り畳んだときに重なり合うため、余分な部分をアーチ状にカットしておくと、仕上がりが美しくなります。


2:仮打ち

❶画布を裏にして床に広げ、その上に木枠を表を床に向けて画布の上に乗せます。
折りしろが均等になるよう、位置を調整します。
❷ まず一辺の中心をとめます。
❸ 次に、今とめた対角にある辺の中心を、張り器でキャンヴァスをはさみ、引っ張りながら仮打ちします。
❹ 同様に残りの2辺も中心に仮うちします。
この4点を仮撃ちすると、画布表面の中央にひし形のシワがよりますが、これは正常な状態です。
3:本打ちと辺の展開




❶仮うちで打ったタッカーを抜き、改めて引っ張りながらいよいよ本打ちです。順番はイラストを参照してください。
❷ ひし形のシワを少しずつ外側に追い出すように、中央から四隅に向かって、およそ5〜7cm間隔でタッカーを打ち込んでいきます。対角線上に交互に進めていきましょう。
4:四隅の折り込み
❶ 角は折り畳んで、木枠の端に沿うように折り込んでからとめます。
角は画布が二重になるため、タッカーが抜けやすくなります。2度ほど打っておけば安心でしょう。

よくある失敗例と対処法
失敗① シワが消えない
対処法
シワのある付近のタッカーを抜き、改めて引っ張り直して再度張ります。
少しのシワなら、キャンバスの裏から霧吹きで水をかけ、乾燥させるとなおることもあります。
失敗② たるみが出た
対処法
木枠にくさびが入っているタイプであれば、くさびを奥に差し込んで木枠を外側に広げることで、テンションを回復できる場合もあります。

それでも改善しない場合は、全てのタッカーを抜き、最初からやり直します。
画布を再利用できるケースも多いので、諦めないでください。
失敗③ 木枠が歪んで直角が出ていなかった
対処法
木枠の組み直しは、画布を張った後では修正で来ません。歪みが発生してしまった場合には、タッカーをすべて抜いて画布を外し、木枠を再度組み直してから張り直します。画布を張る前には、必ず三角定規などで直角を確認しましょう。
失敗④木枠の表裏を逆にして張ってしまった
対処法
これも、一度外して再び張るしか方法がありません。木枠の表面には傾斜角がついており、これが画布と木枠の接触面積を減らして、描き心地をよくしています。裏向きに張ると、木枠の段差が画面に浮き出てきてしまうため、張り直しが必要です。
まとめ
100号キャンバスの張り方を成功させる鍵は、次の3点です。
1. 湿度の高い日(雨・曇りの日)に作業する ー 乾燥した状態で張ると後でたるみが生じやすい
2. 木枠の直角を必ず確認してから張り始める ー 歪みは後から修正できない
- 四辺中心から均一の力で、対角線状に張り進める ー 力のバランスが崩れるとシワになる
大号数のキャンバス張りは最初は難しく感じますが、もし失敗しても再利用できる可能性があるので、恐れずに挑戦してみてください。ピンッと張り上がったキャンバスは、制作意欲を大いに高めてくれるはずです!

