デッサンを始めたばかりの方が、まず驚くのは、デッサン鉛筆の種類の多さです。
9Hや、Fや、10Bといった記号。薄いものから濃いものまで、「こんなに種類があるんですね」と
皆さんびっくりされます。
そして、異様に長く削られた芯。
しかも、カッターで削るという独特の作法…。
初心者の方は、別世界のように見えるかもしれません。
でも、それぞれに明確な理由があります 。
この記事では、初心者の方の素朴な疑問
「デッサン鉛筆の削り方」「持ち方」「濃さの種類」を、丁寧に解説します。
そもそも、なぜ芯を長く削るのか?

デッサンを描いている人の鉛筆は、どれも芯が1〜2cmほど長く出ていますよね。
普通の文字を書く鉛筆では考えられない長さです。これには大きく3つの理由があります。
- ①調子(色)の強弱・表情をつけるため
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デッサンでは、芯の先端だけでなく「腹(側面)」も使います。
鉛筆は上から握るように持ち
手首のスナップを効かせて、ワイパーのように動かします。
芯を長く出すことで、一度で広範囲に「調子 」をのせることができます。
調子を重ねることで、色の強弱や抑揚がうまれ、表情が豊かになります。 - ②タッチ(筆触)を柔らかくするため
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長い芯の腹を使うと、紙に力みのないやわらかいタッチを生み出します。
芯が短いと力が紙に伝わりやすくなり、硬い当たりになったり
意図しない強い線が入ってしまいがちですが
長い芯を寝かせて描くことで、柔らかなタッチになります。
- ③削り直しの頻度を減らすため
-
デッサン中は鉛筆を頻繁に使い、芯が減っていきます。
長めに出しておくことで、ある程度使 っても描き続けられる時間が長くなります。
デッサンは「集中の連続」ですから、作業を中断しないことも大切な要素です。
なぜカッターで削るのか
「鉛筆削りではいけないの?」という疑問は、多くの初心者が持ちます。
答えはシンプルで、電動・手動の鉛筆削りでは「芯を長く出すことができない」から。
それに「シーンに応じて、自分の描きやすい芯先にできる」からです。
カッターを使えば、芯をどれだけ出すか、自分でコントロールできますし
ツンツンに尖らせて、鋭い線を引くこともできます。
カッターを使って、鉛筆の芯を自在に調整することで
自分のねらい通りに調子や線を引くことができ
それによって調子の幅が広がり、デッサンを豊かにしてくれるんですね。
鉛筆の削り方
では実際に鉛筆を削ってみましょう 。
(動画で見たい方はこちらをクリックしてください)





カッターは大きい方が、手元が安定して削りやすいですよ
鉛筆の持ち方
デッサンの時の鉛筆の持ち方には、いつくつかパターンがあります。

上から握るように、短く持つ
手首のスナップでワイパーのように動かし
細かなタッチを重ねたいときに便利。

鉛筆の下をつまむように、長く持つ
画面から離れて全体の調子を整えたい時に便利。

小指をたてて、支えながら持つ
細かい描写に便利。
既にデッサンが描かれていると知らずに、手があたって、せっかく描いたデッサンが擦れてしまうので、小指を支えにして描きます。

いろいろな方向に手を動かせるようになると、上達も早くなりますよ
鉛筆の濃さ
鉛筆の側面に刻まれた「H」「B」「F」などの記号は、硬度(芯の硬さ)を表しています。
HはHard(硬い)、BはBlack(黒い=柔らかい)、FはFIRM(ファーム=しっかりした)の略です。
下表にnas.artsでお伝えしているそれぞれの鉛筆の用途をまとめました。
| 硬度 | 特徴 | デッサンでの主な用途 |
|---|---|---|
| 9H〜3H | 硬い・薄い | 筆触を残さず陰影を出すとき |
| 2H・H | やや硬い・やや薄い | 輪郭のエッジや細部の描き込み |
| F・HB | 中間 | バランスのいい万能タイプ |
| B〜3B | やや柔らかい・やや濃い | 中間色、デッサンの描き始め |
| 4B〜7B | 柔らかい・濃い | 暗い調子、強めのコントラスト |
初心者におすすめのセット
先ずは3Hから6Bぐらいまでのセットがおすすめです。
実際にセットの鉛筆をすべて使ってみて、自分に合った鉛筆を少しづつ足していけばいいと思います。
デッサンでは、硬さの違う鉛筆を重ねたり、消したりして、光を捉え、空間を出していきます。
調子の幅を広げることで、自然に見えるデッサンになっていきますので、先ずは手を動かして「自分の調子」をつくっていきましょう。

